透析後に強い疲労感・倦怠感がある
透析後のつらい疲労感・だるさでお悩みの方へ|原因と適切な改善策
「透析が終わった後、いつも体がだるくて動けない」
「強い疲労感が翌日まで続き、日常生活に支障が出ている」
日々の透析治療の中で、このようなつらいお悩みをお持ちではないでしょうか。
透析後の疲労感(post-dialysis fatigue)は、多くの透析患者さんが経験される一般的な症状です。「治療のせいだから仕方がない」「忙しそうなスタッフには相談しづらい」と一人で我慢されてしまう方も少なくありません。
しかし、透析後の強い疲労感は、原因を一つひとつ紐解き、対策を行うことで軽減できる場合があります。ご自身では自覚症状がなくても、体内の見えない変化がだるさとして表れていることもあります。
当院でも、通院中の患者さんから、こうしたご相談を多くお受けします。この記事が、まずはご自身が現在通われている透析施設の医師や看護師、臨床工学技士の皆様へご自身の症状を相談し、より快適な生活を取り戻すための一助となれば幸いです。
透析後の疲労感の主な原因
透析後の疲労感には、日々の体調や治療条件など、さまざまな要因が複雑に絡み合っています。ご自身の症状がどれに当てはまりそうか、相談時の参考にしてみてください。
- 血圧低下(透析低血圧)
透析中の急激な除水によって血圧が低下することが、疲労の主な原因となります。目標体重の適切な見直しと日々の水分管理が重要です。 - 腎性貧血
赤血球が少なくなることで、全身への酸素運搬が不足し、だるさを引き起こします。ESA製剤や鉄剤、HIF-PH阻害薬による治療を行います。 - 電解質異常
カリウムやカルシウムなどの急激な変動が、体に大きな負担をかけます。 - 睡眠障害
透析患者さんに多い不眠やむずむず脚症候群、睡眠時無呼吸症候群などが、日中の疲労感を悪化させることがあります。 - 炎症・尿毒素
通常の透析では除去しきれない尿毒素や慢性的な炎症が、慢性的な疲労に関与しています。 - 栄養不良
食欲不振によるたんぱく質不足などが影響し、体力が低下してしまう状態です。
通院中の施設で相談・工夫できること
疲労感を和らげ、日常生活の質(QOL)を保つためには、現在の治療環境の中で以下のようなポイントを見直し、主治医やスタッフと共有することが大切です。
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体重管理と除水量の見直し
現在の「目標体重(ドライウェイト)」が適切かどうか、透析間の水分増加量が多くなりすぎていないか、まずはスタッフの方へ確認してみましょう。 -
貧血や栄養状態のチェック
定期検査の血液データ(ヘモグロビンの値など)をもとに、貧血の積極的な治療(目標Hb: 10〜12g/dL程度に調整)について相談してみましょう。 - 十分な栄養摂取(たんぱく質とエネルギーの確保)
定期検査の血液データ(アルブミンの値など)をもとに、食事の工夫について相談してみてください。 -
透析条件の相談
血流量や透析時間など、現在のお身体に負担がかかりすぎていないか話し合ってみることも一つの方法です。当院ではお身体に負担の少ない5時間透析を推奨しております。 -
睡眠や日中の過ごし方の共有
「夜よく眠れない」「足がむずむずする」といった症状があれば、我慢せずに伝えることで、適切なお薬が処方されることがあります。
透析後の疲労感に関するよくあるご質問
Q. 透析の翌日になっても疲れが取れないのは異常でしょうか?
A. 透析治療は体への負担が大きく、翌日までだるさが残ること自体は珍しいことではありません。しかし、日常生活に支障が出るほど強い疲労感が続く場合は、過度な血圧の変動や貧血の進行、栄養不足などが影響している可能性があります。「いつものことだから」と無理をせず、まずは通院中の施設の医師やスタッフへ症状をお伝えください。
Q. 疲れているときは、運動を控えたほうがよいのでしょうか?
A. 強い疲労感がある時の無理な運動は控えるべきですが、実は「適度な運動」は透析患者さんの疲労感軽減や体力維持に有効であることが分かっています。透析中の軽い運動(エルゴメーターなど)を取り入れている施設もありますので、ご自身のお身体の状態に合わせた適切な運動量について、主治医に相談してみましょう。
Q. 「オンラインHDF」に変更すれば、だるさはなくなりますか?
A. 医療において「必ず症状がなくなる」とお約束することはできませんが、オンラインHDF(血液透析濾過)は、通常の血液透析では抜けにくいより大きな不要物質(尿毒素など)を取り除くことができるため、疲労感や関節痛、むずむず脚症候群などの緩和が期待できる治療法です。患者様の状態によって適性が異なりますので、まずは専門医による詳しい評価が必要です。
つらい症状は一人で抱え込まず、まずは身近な医療スタッフにお話ししてみてください。
この記事を執筆・監修した人
田中 茂 (たなか しげる)
日本内科学会認定医・総合内科専門医
日本腎臓学会腎臓専門医
日本透析医学会透析専門医
福岡県大野城市「本村内科医院」院長。専門的な知見に基づき、慢性腎臓病(CKD)の管理から透析治療、生活習慣病管理、予防医療まで幅広い診療を行っている。
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