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夜間に何度もトイレに起きる

夜間に何度もトイレに起きる「夜間頻尿」は、睡眠の質を低下させるだけでなく、腎臓の機能低下や他の疾患のサインである可能性があります。特に腎機能が低下すると尿を濃縮する能力が落ち、夜間に薄い尿が多量に出るようになることがあります。

夜間頻尿と腎臓の関係

正常な腎臓は夜間に抗利尿ホルモン(ADH)の働きにより尿を濃縮し、排尿回数を減らします。しかし腎機能が低下すると尿の濃縮能力が低下し、夜間でも多量の薄い尿が作られ、頻繁にトイレに行く必要が生じます。

  • 1晩に2回以上トイレに起きる場合は「夜間頻尿」と定義される
  • 腎機能低下による夜間頻尿では、尿が薄く量が多い傾向がある
  • 昼間より夜間の尿量が多くなる「夜間多尿」を伴うことがある

夜間頻尿の主な原因

  • 慢性腎臓病(CKD):腎臓の尿濃縮能の低下により夜間に多量の薄い尿が出る
  • 糖尿病:血糖が高いと浸透圧利尿により尿量が増加し、夜間頻尿につながる
  • 心不全・むくみ:日中下半身にたまった水分が就寝時に再吸収されて尿量が増える
  • 前立腺肥大症(男性):排尿困難・残尿感を伴う夜間頻尿
  • 過活動膀胱:膀胱が過敏になり少量の尿でも強い尿意を感じる
  • 加齢:ADHの分泌低下による夜間尿量の増加

放置するとどうなる?

夜間頻尿を放置すると睡眠不足による生活の質の低下だけでなく、夜間の転倒リスクも高まります。また腎機能低下が原因の場合は放置することで腎機能がさらに悪化する可能性があります。

よくあるご質問(FAQ)

Q. 夜中に何度もトイレに行きたくなります。何科を受診すればよいですか?
A. 夜間頻尿の原因は様々です。前立腺や膀胱といった泌尿器の病気だけでなく、慢性腎臓病(CKD)や糖尿病、心不全などの内科的な疾患が隠れていることも少なくありません。「何科に行けばいいかわからない」という場合は、まずは全身の状態を診る内科での初期診療をお勧めします。診察の結果、専門的な泌尿器科の治療が必要と判断した場合は、速やかに適切な医療機関をご紹介いたします。

Q. 夜中に1回起きるだけでも「夜間頻尿」の病気になりますか?
A. 一般的に、夜間に排尿のために1回以上起きる状態を「夜間頻尿」と呼びます。しかし、1回起きる程度でご本人がそれほど苦痛を感じていなければ、すぐに治療が必要とは限りません。主に「一晩に2回以上起きてしまい、睡眠不足など日中の生活に支障が出ている」場合が検査や治療の対象となります。ご不安な場合は一度ご相談ください。

Q. 初診ではどのような検査をしますか?痛い検査はありますか?
A. 当院では、患者様への負担が少ない検査から行います。主に、尿検査(尿の濃さや成分の確認)、血液検査(腎機能や血糖値の確認)、腹部エコー検査(腎臓や膀胱の状態の確認)などを行います。また、ご自宅で尿の回数や量を記録していただく「排尿日誌」をお願いすることもございます。痛みを伴うような特殊な検査は通常行いませんのでご安心ください。

Q. 歳のせいだと言われたことがありますが、受診しても意味はありませんか?
A. 加齢によって尿を濃縮するホルモン(抗利尿ホルモン)の分泌が減り、夜間頻尿になることは確かにあります。しかし、それを「歳のせい」と自己判断して放置すると、思わぬ内科疾患の発見が遅れたり、夜間のトイレ通いによる転倒リスクが高まったりします。生活習慣の改善や適切なお薬で症状を和らげることができる場合もありますので、お気軽にご相談ください。

Q. 必ず薬を飲まないといけませんか?
A. 必ずしもお薬が必要というわけではありません。就寝前の水分やカフェインの摂り方の見直し、減塩、日中の適度な運動など、生活習慣の改善だけで症状が和らぐ方もいらっしゃいます。検査結果をもとに、患者様お一人おひとりの原因に合わせた適切な治療方針・生活指導をご提案いたします。

当院での対応

夜間頻尿には様々な原因がありますが、当院では主に慢性腎臓病(CKD)糖尿病、心不全など、内科疾患に伴う頻尿の精査と治療を中心に行っています。総合内科専門医・腎臓専門医として、全身の状態を総合的に評価し、根本的な原因へのアプローチを目指します。

また、前立腺肥大症や過活動膀胱などの泌尿器科疾患については、すでに症状が安定しており、投薬の継続のみで管理が可能な場合のフォローアップを担当しております。

なお、専門的な検査や処置が必要な「重症の夜間頻尿」や、泌尿器科での治療が最優先となるケースにおきましては、地域の専門の泌尿器科と速やかに連携し、適切な医療機関をご案内できる体制を整えております。抱え込まずに専門医を頼ることで、患者さんにとって最善の医療をご提供いたします。

夜間のトイレが気になり始めたけれど、何科を受診していいかわからない」という場合も、まずは内科的な原因が隠れていないか確認する初期診療(プライマリ・ケア)の窓口として、どうぞお気軽にご相談ください。

  • 尿検査・尿量測定(排尿日誌)
  • 血液検査(腎機能・血糖・電解質など)
  • 腹部エコー検査
  • 原因に応じた適切な内科的治療・生活指導、および専門医へのご紹介

夜間のトイレが気になる方は、お気軽にご相談ください。

この記事を執筆・監修した人

田中 茂 (たなか しげる)

日本内科学会認定医・総合内科専門医
日本腎臓学会腎臓専門医
日本透析医学会透析専門医

福岡県大野城市「本村内科医院」院長。専門的な知見に基づき、慢性腎臓病(CKD)の管理から透析治療、生活習慣病管理、予防医療まで幅広い診療を行っている。

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