ひとりで出来る簡単エクササイズ!~継続は力なり~

■運動について

慢性腎臓病患者さんは病状の進行に伴い筋力が低下していることが報告されており、透析患者さんが運動に耐えられる能力(運動耐容能)は健常者の半分といわれています。サルコペニア(筋力が減り、体の機能が低下した状態)の人は一般人口の10%とされていますが、透析患者さんでは30~40%に上るとの報告もあります。
従来、慢性腎臓病の方は安静第一で運動制限をされていました。運動をすることでタンパク尿が増え、腎機能が悪化すると考えられていたからです。しかし運動によるタンパク尿の増加は一過性で長期的に増加することはなく、腎機能に悪影響はないことがわかってきました。むしろ運動をすることで様々な効果があることが明らかとなり、現在では運動が推奨されるようになりました。
いつまでも自立し、楽しく生活できるよう、運動をはじめてみませんか?

■運動のやり方

ウォーミングアップ、有酸素運動、筋トレをご紹介します。時間のない方や体力のない方は全てを行えなくても、短時間でも毎日少しずつ続けてみましょう。

■運動をするときの注意点

・透析中に行うときは血圧低下を避けるために透析時間の前半に行うこと
・心臓や血管に異常がある場合、専門に医師による運動の許可と運動処方に基づいて心臓リハビリテーション指導士の
指導のもと行う
・膝や腰の痛みなど骨・筋肉の症状がある時は専門の医師の許可と具体的な運動内容の指示のもと行う
・血圧が180/110mmHg以上と高い時は行わないこと
・糖尿病で空腹時血糖250mg/dl 以上、尿中ケトン体中等度以上陽性、新しい眼底出血または
糖尿病性壊疽がある場合は行わないこと
・ゆっくりした歩行でもめまいや呼吸困難などの症状がでる場合は行わないこと
・透析直後は行わないこと

■ポイントは「ひなまつり」

体の広い範囲を動かすこと、ゆっくりと長く行うことがポイントです。

ウォーミングアップのやり方

身体をあたためて筋肉やかんせつの動きを滑らかにしたり、全身の血流を促して筋肉への酸素供給を増やしたりする効果があります。今まで運動の習慣がない人はまずこの運動だけでも始めましょう。
1つの動きを10~15秒かけてゆっくり行います。それぞれ5~10回を1セットとし、1日3セットを目標に行いましょう。
最初は無理せず、慣れたら少しずつ回数を増やしましょう。

■かかとの上げ下ろし

アキレス腱を伸ばす効果もあります。
➀両足をそろえて立つ
②かかとをゆっくり上げ、ゆっくり下ろす

■足上げ(前→上→後ろに上げる)

➀いすや手すりにつかまり、片足で立つ
②もう片方の足を前→上→後ろの順に上げる上に上げるときはひざを折り、
太ももを上げる
③反対の足も同様に行う

■中腰までのスクワット

➀両手を腰に当て、足を少し開いて立つ
②軽くひざを曲げて腰を落とし、元の姿勢に戻す

■ばんざい

➀足を少し開いて立つ
②両腕が耳につくように上げ、元に戻す

有酸素運動のやり方

1日20~60分を週に3~5回行います。長く続けることができない方は3~5分程度の軽い運動を数回に分け、計20~60分行ってもいいでしょう。
お勧めはウォーキングや自転車こぎなどです。足を使って筋力を鍛えることで血流がよくなり酸素の取り込む量が増加します。

■ペダル漕ぎ(エルゴメーター)

足がふらつきそうな人は室内で安全に行えます。

■ウォーキング

息が上がらない程度の速さで歩きましょう。
①顎を引いて視線は遠くに
②肩の力を抜いてリラックス
③肘を曲げ腕は前後に大きく振る
④ひざを伸ばす
⑤かかとから着地しつま先でける
⑥歩幅はできるだけ広くとる

筋力トレーニングのやり方

週に2~3回どちらかの運動を行ってみましょう。2日続けて行う場合は同じ運動ではなく交互に行ってみてください。筋肉は負荷をかけるとダメージを受け、それを修復するときに太くなります。筋肉の修復は24時間かかるといわれています。いろんな部位の筋肉の運動を行うとよいでしょう。
筋肉に力を入れるときに息を吐き(「ツー」と声を出す)、力を緩めるときに息を吸うのが基本です。息を止めて力を入れると血圧が上がるので気を付けましょう。

■スクワット

太ももの筋肉を強化します。
①肩幅より少し足を開き、つま先は少し外側に向ける椅子音背に両手を添えて背筋を伸ばす
②息を吸いながら3~5秒かけて膝をゆっくり曲げる膝を曲げたとき、ひざがつま先より前に出ないようにする
③息を吐きながら3~5秒かけて膝をゆっくり伸ばす
④②~③を5~10回繰り返す
これを1セットとして1日3セット、週3~4日行う

■片足立ち

バランスの改善、股関節周囲の骨の強化、足の筋肉増強の効果があります。
椅子につかまって行ってもよいです。
①左足のふとももが床と平行になるくらいまで引き上げ、1分保つ
②右足も同様に行う
③これを1セットとして1日3セットを行う

「東北大式・腎臓リハビリテーション」引用
「日本腎臓リハビリテーション学会 腎臓リハビリテーションの手引き」引用

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