腎不全の治療法として、血液透析、腹膜透析、腎臓移植の3つの選択肢があることは多くの方がご存じのことと思います。
現実には95%程度の方が血液透析を受けていらっしゃいます。4%が腹膜透析(CAPD)、そして移植は1%程度となっています。
諸外国と比較すると2018年のデータで移植が腎不全治療で占める割合はスペイン49%、USA37%、クロアチア35% と日本とは圧倒的な差があります。
日本で腎移植があまり進まない理由は様々あると思います。
他人の腎臓を頂くことへの罪悪感、手術や拒絶反応への恐怖、日本の透析技術(生存率)の高さ、対象患者さんの高齢化などを思い浮かべます。
治療法の優劣でいくと腎移植の生存率、生活の質(QOL)の高さは他の治療法を上回っています。さらに免疫抑制療法の進歩による生存率、生着率の向上、手術負担の軽減等は目を見張るものがあります。
腎移植は、お亡くなりになった方から腎臓を頂く献腎移植と家族などから腎臓を頂く生体腎移植にわかれています。2018年の資料では日本全体で2057例が行われており、生体腎移植が1827例、献腎移植が230例となっています。
生体腎移植では5年生存率97%、10年生存率92%、5年生着率93%、10年生着率89%、献腎移植では5年生存率93%、10年生存率81%、5年生着率88%、10年生着率70%と良い成績が出ています。
生体腎移植のドナーは6親等以内の血族、3親等以内の姻族が候補となりますが、移植技術の進歩により血液型が異なることによる障害が克服され夫婦間腎移植の例が増えてきています。
献腎移植は約12000人の希望(登録)があり待機期間が平均約15年かかりますが、優先順位として、搬送時間が短い事(ドナーと同一県内か、同一ブロックか)、HLA(白血球の血液型)の適合度、待機日数の長さ、未成年か否かなどを点数化して、日本臓器移植ネットワークから点数の高い希望者に連絡しお返事を頂く仕組みになっています。
福岡県は移植を行っている施設が5か所程あり比較的恵まれた状況にあります。いつ連絡が来るかわからないので移植登録をされている方はチャンスを逃すことなく、また冷静な判断が出来るように日頃から情報収集をされておいてください。