『透析施設での有毒ガス発生』に関する当院での安全対策

 昨年末、テレビやネットニュースで話題となった『透析施設での有毒ガス発生』の見出しを、一度は目にされたことがあるかもしれません。
2日に一度の通院が必須となる透析患者の皆さんにはとても心配になる話題ではないでしょうか?そこで今回は、当院での安全対策をご紹介できればと思います。

 まずはじめに、なぜ透析施設で有毒ガスが発生するのか。
透析を安全に行うために必須となるのが透析液を『清潔に作製し、清潔のまま患者さんのもとへ運ぶ』ことです。そのために透析液の通る管と機械を毎日洗浄消毒し、綺麗な状態を保つ必要があります。
透析施設で一般的に使用される洗浄消毒剤は『次亜塩素酸ナトリウム(塩素系薬剤)』と『過酢酸洗浄剤(アルカリ性薬剤)』です。
次亜塩素酸ナトリウムは、家庭用でも多く使用されている「塩素系漂白剤」に含まれる次亜塩素酸ナトリウムを使っており、幅広い殺菌作用が期待されます。
透析に使用している透析液は長時間放置してしまうと「炭酸カルシウム」(石灰、貝殻など)が管に付着してしまいます。この炭酸カルシウムを取り除くのに必要な洗浄剤が過酢酸洗浄剤です。
 この2剤が混ざることで発生してしまうのが『塩素ガス』です。ご家庭で使用している塩素系漂白剤の容器にも『混ぜるな危険』と表記されており、皆さんも一度は見たことがあるかもしれません。このガスは眼、皮膚、気道に対する腐食性があり、とても危険とされています。実際に発生させた経験がないため、身体に起こる詳しい症状をお伝えすることはできませんが、塩素ガスが発生した際には、建物内にいた場合は速やかな避難と、消防への通報が必須です。

 当院ではこのような事態を招かないよう、次の対策を行っています。
① 洗浄剤の補充には必ず2人で行う
② 使用する洗浄剤と使用量の声出し、目視確認
③ 透析患者さんが全員帰宅された火・木曜日の15時以降に行う
④ 1度に作製する洗浄剤量を少量にする(容量50Lのタンクに対して半分以下まで)

 当院に通院されている皆さんが安心して透析治療にのぞめるよう、細心の注意を払ってまいります。何か疑問点がありましたら、気軽にスタッフへお尋ねください。

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