患者さん一人一人が快適な透析ライフを過ごすための「至適透析」を考えます。

KT/V(ケーティーオーバーブイ)

腎臓と透析治療を比べると、腎臓は毎日働いていますが血液透析では週3回の透析治療中と限られた時間だけになります。そのため、1回の透析治療が十分出来ていること、つまり 適正透析であることがとても大切です。適正透析を確保すれば合併症の発生予防や生命予後を改善することが出来ると考えられています。  当院では、6・12月に透析治療前・後の採血を行います。その検査結果をもとにKT/Vを算出しています。 どれ位透析できているかを表す指標となる数値が、KT/V(標準化透析量)と呼ばれるものです。

Kt/V(尿素の標準化透析量)
尿素はタンパク質が分解された最後の代謝産物で、分子量が60と小さく、細胞膜を自由に通過でき、体液中に均等に分布しています。このため透析効率の指標として使われています。Kt/Vは一回の透析前後の血中尿素窒素(BUN)と透析時間、除水量、透析後体重などから複雑な対数計算式で算出され、透析効率を示す指標として使われます。

Kt/Vと予後
日本透析医学会のガイドラインで透析効率の指標としてKT/Vが推奨されています。最低でも1.2を確保し、目標として1.4以上が望ましいとされています。2010年の透析医学会の統計調査の報告では、KT/Vを1.2から1.8以上まで上昇させると死亡リスクが低下すること(図1)、但し、透析時間が4時間未満の場合は、KT/Vを増加させても死亡リスクは軽減せず、むしろ、リスクの上昇が示されていることから、透析時間は4時間以上を維持しながらKT/Vを高めることが必要と考えられます。KT/Vが0.1増すごとの死亡リスクが2%低下します。さらに、透析時間が長く、KT/Vが高いほど死亡リスクが低下することが示されています(図2)。         当院では、KT/V 1.4以上を目指しています。1.4以下であった場合、患者さまの状態に合わせ透析条件(透析時間・血流量・ダイアライザー・I-HDF or onlineHDF)の変更を行います。

まとめ

Kt/Vは血液量とダイアライザーの膜面積で変わります。BUN(尿素窒素)は分子量60の小分子量物質 です。小分子の除去量は血液流量に依存する ため、血流を速くすれば除去率やKt/Vは大きく なります。しかし、中分子以上(分子量5000~ 10000Da)の大きな物質の除去量は血流には 依存しませんので、血流を速くしても除去量は あまり増えません。生命予後、合併症罹患率、QOLなどに関係している物質は中分子量物質(分子量5000~ 10000Da)や、更に大きい低分子タンパクなどの 物質(β2MG=11800Da)です。そのため、血液流量と膜面積は、KT/Vだけでなくその他の血液検査値と患者さまの全身状態、体格、血圧の状態などにより決定していきます。そこで必要なのは患者さまの声です。透析中・透析後のことできになること(例えば頭痛がする・足がむずむずするなど)を教えてください。より良い透析につながるとっても大事な情報になります。ともに協力し合い快適な透析をめざしましょう。 

 

参考文献

  1. 維持透析ガイドライン:日本透析医学会雑誌46(7)、2013
  2. 包括的腎代替治療:新興医学出版社、2012
  3. DOPPS 透析臨床にもたらしたimpact:日本メディカルセンター、2013

    文責 岩屋

 

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