透析患者さんの多くの方(一説には60%以上)が便秘で悩んでおられます。水分の制限があること、野菜が十分に摂れないこと、リンやカリウムを下げるお薬の影響、高齢化、糖尿病などもともと持っている病気の影響など多くのバックグラウンドがあります。
なによりも、透析中に便意を催すと困るという警戒感がお通じのリズムを狂わせるように思います。
当院では、透析中のトイレは血圧が下がる恐れが少なければOKということで対応しております。
透析患者さんの便秘のお悩みには、実際の対策として下剤を処方することが多いのですが、センナなど腸を刺激するお薬は長く使っていくとだんだん効果が落ちてくることが知られています。
その他に座薬を用いたり、最近は便を柔らかくしてお通じを助ける薬も多く用いられるようになってきました。
しかし前述の透析時間の便意を避けるにはご自身に合った服用のタイミングを見つけ出す必要があります。
透析終了後に下剤を服用して頂くことで対応していますが効果発現までの時間には個人差が大きく問題解決は簡単ではありません。
お薬に頼らない方法として、リンが高くない方はヨーグルトを摂取したり、オリゴ糖でビフィズズ菌を増やす、腸内細菌のコントロールをすること、手でおなかのマッサージをすること、体幹を捩じる運動、散歩をうまく取り入れることなどがあります。
また排便時の姿勢も背筋を真っすぐに伸ばしてやや前傾すると効果があることがあります。
決定版という方法はありませんが、個々の状態を考えながらリズムのある生活を送って頂けるように願っています。